本日、かーちゃんの火葬。
四ツ木斎場というところに行ってきた。
戒名をつけてくれたお坊様と会った。
このお坊様は、今日の火葬の時にお経をあげてくれる。
そんでこのお坊様は、
かーちゃんの戒名に『菫』という字を使ってくれた。
昨日、その戒名を電話で聞いたが、
かわいらしく、皆から愛されたお母さまで、
すみれは、どこの国に行っても愛される花なので、
春に旅立つかーちゃんにピッタリだとおっしゃった。
かーちゃんは草木を育てるのが好きで、
ベランダ菜園までやってた話をお坊様にしなかったのに、
草木の漢字を入れてくれて、
ものすごく感慨深くなって、本当に感謝していた。
何度も戒名を見て、ありがたく思った。
そして、あることを思い出した。
かーちゃんが少女のころ、戦争があって、
戦後の混乱もあって、生きることに必死で、
勉強することもままならない時代だった。
そんな中、かーちゃんは自分の夢を諦めた。
かーちゃんは『タカラヅカ』に入りたかったのだ。
お歌が大好きな少女は、タカラヅカには行けなかった。
戦争で、少女の夢は砕かれ、
大人になって別の道を歩んだ。
かーちゃんが「タカラヅカに入りたかった。」と言っていたのを思い出した。
その思い出を思い出して、
タカラヅカに関係ある漢字『菫』を戒名に入れていただいて、
本当に不思議に思った。
何てすごいお坊様なんだろう。
少女のころのかーちゃんは、
タカラヅカには行けなかったけど、死んで戒名で、
タカラヅカに縁のある漢字をいただいた。
夢がかなったね、かーちゃん、と思った。
好きなだけ『すみれの花咲くころ』を唄うといい。
天国でも、
カラオケマイクを握って離さないかーちゃんでいるといい。
かーちゃんの顔をなでて、棺の中に、
入れ歯、競馬新聞、赤ペン、うさこの写真、私が書いた手紙、老健でお誕生日や母の日で記念撮影されていた写真、たばこを入れた。
老眼鏡を入れてもいいか聞いたら、
プラスチックは良いけど、
ガラス製品は駄目です、と教わった。
お骨と一緒に入れてあげてください、と言われたので、
老眼鏡と虫眼鏡は納骨の時に入れてやろう。
それと、ライターを入れ忘れたので、
うちに帰ってきてからかーちゃんのお骨に向かって、
「ライターは誰かに借りてください。」と言った。
天国だから、きっと誰か持ってるだろう。
かーちゃん部屋にある仏壇を拭いた。
うさこがひっくり返した線香立ての灰を掃除機で吸った。
かーちゃんの白い位牌を仏壇に置いた。
写経机にお骨を置いた。
死亡届の正本が手元に来たので、来週から忙しい。
銀行に、年金係に、住宅局に、あとはどこを周るんだ?
世帯主になるのに、
いろんなところに行かないといけない。