でも、いつだったか、忘れないために書く。
生活保護の友達がいる。
S埼さんだ。
今40代後半だろう。
S埼さんは、解離性障害で入院してきた。
生活に困って、胸を痛くして、気が付いたら自分が誰で、
どこに住んでいるのかわからなくなった、と言っていた。
家がどこだかわからないと、金町交番のお巡りさんに言ったら、
救急車を呼んでくれて、病院に入院することになった。
しかし、最近ではもう病院には行っていない。
何年か前に担当医から、
もう治っているので来なくていいですよ、と言われたそうだ。
彼女は何年も前に子宮筋腫を患って、貯金がなくなり、
それで生活保護になっていた。
最近ではアトピーがあるので、皮膚科に通っているだけだ。
アトピー以外は健康体なのだ。
入院してるときに友達になった。
退院してすぐの最初は、携帯に電話をかけてくるのに、
今かけていいかどうかメールで聞いてきていて、
心づかいのできる人だと思っていた。
ところが最近は、いきなり電話をかけてきて、
こっちに用事があろうが何していようが、
いきなり何度も何度も何度も連続でかけてくる。
病的なのだ。
いつも携帯見ているわけじゃないので、
出られない時の方が多いと説明して、
最近は毎日外出することが多いので忙しいと説明して、
何度もかけてくるのを断ったばかりだ。
そしたら、何日かして、携帯じゃなく、家の電話が鳴った。
18日月曜の朝9時だった。
S埼さんからだ。
悪いけど寝ていた。
わたしは低血圧と、薬の副作用で朝起きられない、弱い。
寝ぼけて出て、誰かと思って何事かと思ったら、
「何とかの(何のことだか聞き取れなかった)修理代を払ったらお金が無くなったので、500円でも1000円でもいいから貸して欲しい。」
という内容だった。
S埼さんは携帯電話しか持ってない。
うちの家電話にかけてくるのは、電話代がかかるだろう。
しかも高かろう。
それなのに家の電話にかけてきた。
お金を貸してくれの電話は、これが3回目だ。
1回目の時はお金を貸した。
1万円。
この時の理由は、
携帯の電話代が払えないから貸してくれ、だった。
何日か何も食べてなくて、
当時70歳くらいだった彼女と同居してるお母さんも、
何も食べていないと言う。
70歳のおばあさんが娘と一緒に何も食べていないと言う。
仕方ないから貸してあげた。
S埼さんは生活保護を受けているのに、
コンビニで買い物をする。
おかずを作らないで、米も炊かないで、
母娘でコンビニやスーパーでお総菜や煮魚、唐揚げを買う。
何で米を炊かないのか聞いたら、
炊飯器を置く場所がないと言った。
米はサトウのごはん3パック入りとかを食べているそうだ。
日銭を持ってコンビニに行って、
新製品の缶チューハイやカクテルを飲む。
外出の時にコンビニに行ってジュースを買う。
ランチは安いからとピザのデリバリーを頼む。
アイスを買う。
娘がそんなだから、お母さんも日銭を握って、
家から一番近いのがコンビニなので、惣菜を買ってくる。
S埼さんは、働こうとしない。
アトピー以外健康なのに。
何年も前に生活保護担当員に、
「あなたは大きい病気をして入院することが何度もあるから、生活保護を受けていた方が良いのよ。」
と、言われたそうだ。
その言葉にしがみついて、
日がな1日テレビを観て生活している。
なので芸能人の話にはやたら詳しい。
だが、コンビニで買い物して贅沢をしている人に、
テレビを観て毎日過ごしてる人に、
どうしてお金を貸してあげないといけないのか。
しかも、金町まで来いと言う。
中間の小岩まで出て来てよと言ったら、バス代がないと言う。
仕方ないので金町まで行った。
仕方ないので、おち合った喫茶店でプリンを食べさせてあげた。
お母さんにも来て欲しくて、
それはどうしてそんな暮らしをしているのかを聞きたくて、
どういうつもりで毎日暮らしてるのか聞きたくて、
お母さんもつれてきなよと言ったら、遠慮して来なかった。
私はお母さんから、話を聞きたかったのだ。
もちろん、お母さんにも、何か食べさせるつもりでいた。
2回目は何だったかな。
夜の11時過ぎに携帯が鳴って、
理由は忘れたけど1万円貸して欲しいと言われた。
私は今もだけど、過去未払いの年金を今払えるので、
それを払っている。
年金払ってるから自由になるお金がない、と言って断った。
食べてないだ、何だとメールが来たので、
ラーメンやらモヤシやら米やら飴やら、
食べ物を段ボールに詰めて送ってあげた。
次の生活保護費が入ってくる10日余りで、
餓死するのを見過ごすわけにはいかない。
お金を貸してあげられなくて、
罪悪感で胸がムカムカするのをおさめるためだ。
そして3回目だ。
お金を貸してあげる気は毛頭なかったので、
そして携帯に出る気もなかったので、無視した。
私はまだ年金を払っている。
自由になるお金はあまりない。
そう言って断った。
そしたらまた、食べてないからめまいがするとか、
いらない食べ物はないかとメールが着た。
何も食べてない?
米もないのか?
お米炊いたら、マヨネーズや醤油や塩でご飯が食べられる。
飢えはしのげる。
これはたかりだ。
仕方ないので今回もラーメンやら米やら飴やら送ってあげた。
ジャガイモ人参玉ねぎとカレールゥを入れてあげた。
2日経って、A井さんという、
やっぱり病院で友達になったお姉さんから電話がかかってきた。
「S埼さんから電話がかかってきて、1000円落としたから1000円貸してくれって言うのよ。」
「えっ!? うちには何とかの修理代出してお金が無くなったから、500円でも1000円でもいいから貸してくれって電話がかかってきたよ。」
「ええっ!? 1000円落としたって言ってたよ……。」
お金がなくて、食べてなくてフラフラして、
気〇ガイみたいになって、
どっちかに嘘を言ってるのが判明した。
いや、金を借りたい一心で、
どっちにも嘘を言ってるのかもしれない。
A井さんと2人して、嘘をつかれていることに驚いた。
あの人にはああ言って、この人にはこう言ってるのだ。
A井さんは言った。
「困った人ねぇ。間違った生き方をしてるんだよ。」
私は嘘も方便と思ってるから、そんなに怒りはなかったけど、
女2人で生活していて、
どうして50円100円毎日貯められないのかが、
未だにわからない。
生活保護で、もらえるお金が決まっているのに、
それでヤリクリするのが当たり前。
毎日切り詰めて、
毎日50円でも100円でもタンス貯金するのが当たり前。
生活保護の人は、銀行口座の中身を生活保護担当員に見られて、
金の出し入れをチェックされるので、貯金ができない。
タンス貯金をするしかない。
うちだって微々たる年金で暮らしていて、
そんなに懐は温かくない。
それでも切り詰めて貯金しようとしている。
A井さんは言った。
「モヤシのフルコースが食べられるわね。」
「味噌汁にモヤシ炒めにおひたしだね。」
そうすれば1日100円で過ごせる。
女2人で暮らして、1日モヤシ生活をすればいいのだ。
100円で3袋は買えるはずだ。
そうすれば2人で600gの野菜が取れる。
1人300gだ。
1日の成人野菜摂取量がほぼ取れる。
毎日食べれば、相当貯金できる。
更にA井さんは言った。
「あたしもモヤシ買うのよ。お米は土鍋で炊いてるの。1日1合2回で食べるのよ。」
「それは一番美味しいお米の食べ方をしてますねぇー。」
A井姉さんは生活保護を受けている。
生活保護を受けて、一生懸命切り詰めている人のところに、
生活保護で米も炊かずに贅沢している人が、
あの手この手で金を借りようとしている。
何か間違ってないか?
A井姉さんが言うように、本当に生き方を間違っていないか?
この顛末をリアルタイムで聞いているうちのかーちゃんは、
「仏の顔も3度まで。」と言った。
私はこの話をデイケアでして、スタッフのS井さんから、
人が良すぎると怒られた。
怒られた話をしたらかーちゃんが、
「人が良いと言うのは良く言ってるだけで、馬鹿って言われてるのと同じだよ。どっちが良いかと思ったら、馬鹿でも良いと思うよ。でももう次は何もやってあげるんじゃないよ。」
私が食料を入れた荷物が届いたであろうその日、
家の電話に電話がかかってきた。
S埼さんだ。
「何で家の電話にかけてくるの?」
「お礼が言いたくて。でも携帯は繋がらないし……。」
「そんなの気にしなくていいよ。」
と言って切った。
メールで感謝の言葉をもうもらっている。
それに繋がらないのではない。
あなたからの電話に出たくないのだ。
空気でわかってくれないだろうか。
迷惑なのだ。
自分のことしかわからないだろう。
わかるわけがない。
そんなことわかってたら、
母娘で協力して50円貯金ができてるだろう。
菓子折りが欲しいわけではないが、
S埼さんのお母さんが、お世話になったと言って、
食べることができて感謝してくれて、
本来なら菓子折り送ってくるような話だ。
でも、そんなこともできないだろう。
うちのかーちゃんだったら、
お世話になって助けてもらってありがとうと言って、
絶対菓子折り送ってる。
かーちゃんがやらなくてもあたしがやる。
こんな話、オチがない。
友情と希望の欠片もない。
生活保護は苦しいのかもしれないが、実情はこんなもんだ。
こんな人ばっかりかと思う。
いやまー、そうじゃない生活保護の人も知ってて、
ちゃんとやってる友達もいるけどね。
その人たちは特別なんだろうけどね。
S埼さんに、家の電話にかけないように、メールでお願いした。
うちは今、ほぼ毎日デイサービスや、保険所やら、
ケアマネから電話がかかってくる。
うちの電話は、
S埼さんの自分勝手な電話したい気持ちのはけ口ではないのだ。
デイケアスタッフのS井さんに、
「お金を何度も貸してくれなんて、そんなのもう友達じゃないよ。」
と怒られた。
若くて真面目なおねーちゃんに、怒られてばっかりだ(笑)。
今思ってるのは、
仏の顔も3度までです。
次は携帯からS埼さんのアドレス全部消して絶交します。
早くもう1回お金貸してくれと言ってこないかな。
そしたら、もう友達じゃなくなるからな。
それを待っている自分がいる。


わけもなくやすぞうさんにはかけませんよ。
生活保護ならだいぶお金もらってるはずだと思うのですが...。
悪友にはサヨナラですね。