土曜の深夜、
かーちゃん部屋でドスンと音がして目が覚めた。
ただ事ではない。
暗い中行ってみると、かーちゃんが畳に転がっている。
起き上がらせるので手一杯。
ズボンを引き上げてベッドにつかまらせて、
何とかベッドに這い上がってもらって横にさせた。
それから寝た。
寝たら明け方、かーちゃん部屋から何か言ってるのが聞こえる。
起きて見に行ったら、裸で畳に転がっている。
おしっこも漏らしていた。
ベッドにつかまらせて、何とかベッドに横になってもらった。
おしっこまみれの紙パンツを代えた。
「これじゃあ私じゃ面倒みきれない。施設に入ってもらう。」
言いたくないけど言いたくないことを言った。
かーちゃんは何も応えなかった。
江戸川区の特養のサイトを見にいったりした。
費用はどのくらいかかるのか、
ケアマネに相談しないといけないかな、と思ったりしていた。
土曜の夜になって、ご飯を食べてる時に気がついた。
ゾッとした。
かーちゃんの左顔面と目の周りに、青あざ赤あざができていた。
お岩さんのよう。
頭痛と吐き気はないそうで、畳にすって痛いだけと言った。
目は見えてると言った。
これはわたしではどうにもできない。
顔の骨が折れてて、中で内出血でもしてたら大変だ。
「かーちゃん、火曜に中澤先生来るから、城東で診てもらおう。」
普段なら医者には行きたくないと言うのだが、
かーちゃんはそうだねと返事した。
よっぽど痛いのだろう。
月曜になって朝9時過ぎたので、城東に電話。
整形外科に回してもらった。
中澤先生の火曜の時間に予約を取りたかった。
「土曜の深夜に自宅で転びまして、顔面を打ったみたいなんですが。」
「うちは顔面はやってないので、お近くの眼科か脳外科を診療してください。」
ええっ、城東整形外科は顔面やってくれないのか。
困った。
電話切って、グーグルで江戸川区脳外科で検索したら、
西村記念病院脳神経外科がヒットした。
すぐ電話。
平井に来て10何年か経つが、
西村がどこにあるか全然わかってない。
道順も教えてもらった。
予約を入れなくていいそうだ。
都合が良い事に、脳神経外科は月曜火曜診療している。
「かーちゃんや、お昼食べて午後に西村に行こう。」
骨が折れてるかヒビが入ってるかも怖かったが、
骨の下にできる内出血が怖かった。
何か月もして脳に影響が出る。
死に至る場合もある。
午後1番のバスで、西村に向かった。
言われた通りに行ったら、
南口のお洋服屋さんの所を曲がる道だった。
「何だ。ここだったのか。初めて知ったね。」
「近いところだね。」
車椅子のかーちゃんと笑った。
月曜の午後1だったからか、
それとも受付が脳神経外科だったからか、すぐ順番が来た。
待ってる時に、待ち合いの誰かが、
今日は空いてるね、と言っていた。
先生がかーちゃんの顔を見るなり、
「痛かったでしょう。すぐレントゲンとCT撮りますからね。」
あぁ、痛かったのをわかってくれる先生だ。
どんな病院かと思ってたが、良い病院良い先生みたいだ。
2階のレントゲンCTへ移動。
レントゲン室CT室から、技師さんの、
かーちゃんへの声が聞こえる。
凄く丁寧なのだ。
あぁ、ここの病院は凄くいい病院みたいだ。
そういえば電話の事務のお姉さんも凄く親切な受け応えだった。
レントゲンCT終わって、再び待っていると呼ばれた。
「骨に異常はありません。頬骨も大丈夫です。内出血もありません。だけど経過を見たいので、来月また来てください。それで異常がなければおしまい。」
あー良かった。
とりあえず一安心。
受付済ませいてから小一時間で会計まで終わった。
「かーちゃんや、時間あるから西友と八百屋に行こう。」
かーちゃんを西友に連れてった。
かーちゃんがミキサー食じゃなくて良くなったので、
あれやこれや財布の紐を緩めてしまった。
「たけのこご飯におでん食べよう。」おでんセット買った。
「はんぺんチーズ食べよう。」はんぺんも買った。
「あんた食パン忘れてるよ。」
と、かーちゃんが気がついたので、食パンも買った。
もちろん豆腐も買った。
「かーちゃんや、豆腐と納豆であんたの病院代くらい出るから、病院行って診てもらおうよ。」
そう言って、医者に連れて行ったのだ。
それにかーちゃんの言うとおりにして、
病院に行かないで様子見していると、恐ろしいことになる。
水曜のデイサービスで、
かーちゃんの異変に気がついたなごやかさんから、
医者に連れて行けと言われる。
なごやかさんからケアマネに連絡がいって、
ケアマネから医者に連れて行けと言われる。
次に訪問リハの先生から、医者に連れて行けと言われる。
3方向から医者に行けの連呼。
言われるのうっとおしい。
言われるのうっとおしいので、西村から帰ってきてすぐ、
ケアマネほっしーに電話を入れた。
「医者に連れて行けって言われる前に病院行ったので安心してください。骨に異常はないそうです。」
「水曜なごやかさんに行って大丈夫ですか?」と聞かれたので、
「顔面お岩さんみたいになってますが、普段通りにしてます。お風呂も大丈夫です。」
帰ってきて西友で買ったコロッケと塩大福を食べながら、
かーちゃんに、
「あんたのおかげで平井の病院に詳しくなってるよ。西先生、なかた先生、二本松に城東病院、今回は西村記念病院。」と言ったら、かーちゃんは笑った。
とにかく西村で今回は助けてもらった。
診察曜日がかち合ったのもあったが、近くてありがたかった。
江東高齢者医療センターに行くのも考えたのだが、
遠いし予約制だし、屋田先生の診察曜日に合ってなかったのだ。
行った病院行った病院で、
その診察曜日で違う先生に診てもらうのを嫌う。
かーちゃんは慣れた先生の方がいいと言う。
今日火曜、さっきなごやかさんから電話が来た。
「明日8時40分ごろ伺います。お顔は大丈夫ですか?」
もうケアマネなごやかさんに電話したのか。
話が通るのが早い。
「いつも通りになってますので大丈夫です。よろしくお願いします。」
かーちゃんに、
「あんたなごやかさんで顔の事聞かれると思うから、病院に行って診てもらったし、先生に大丈夫って言われたって言うんだよ。」とレクチャー。
明日なごやかさん。
お岩さんのようになったかーちゃんの顔を見て、
きっと誰もが驚くだろう。
とろみ材も持たせないから、
姿形のある硬いご飯が食べられるだろう。
2017年01月17日
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