「今日はエリザベス女王杯だけど、どうする? やる?」
やると申す。
サンドイッチ食べ終わって、
日刊スポーツ、ボールペン、マークカードを渡す。
私風呂に入る。
風呂からあがってきて、様子を見ると、
カードに何も書いていない。
「あんた書かないと馬券買えないよ。」
「つけ方がわからない。」
えええーーーっ、老健にまで競馬新聞持って来いって言って、
息巻いていたじゃないか。
「どう書いていいのかわからない。」とぬかすので、
JRAのサイトに行って、
マークカードの馬券買い方ページをプリントしてあげた。
「これ読みなさい。」
「こんなこと(馬券のつけ方がわからない)になるなんて、思ってもみなかった。」とかーちゃんは言った。
入院と老健で7か月競馬してなかった。
馬券の買い方を忘れている。
「(買うとお金がかかって)責任があるから(馬券)怖くて買えない。」
そんなこともぬかすので、
「じゃあこれ読みなさい。」そう言って、
さっきのマークカードのつけ方の紙を再度差し出した。
何となくだが、マークカードに馬単を書き出した。
40何年も競馬してきて、入院老健に入っている間に、
よもや自分が、
馬券の買い方を忘れるとは思ってなかったのだろう。
その事実を己で知ったのは、悲しかっただろう。
なに、忘れたことはまた覚えればいいんだよ。
私はそう思ってるので、明るく対応した。
忘れたことはまた覚えろ、と思った。
老健退所してきてから4回目かな、競馬の日。
毎回物凄い金額になるマークカードつけてくるので、
リハビリだと思って買っている。
当たればいいんだよ。
そう思って買っていた。
馬券の買い方忘れたのか。
だけど競馬はしたいのか。
複雑な心境でマークカードを書いているかーちゃんを見守った。
かーちゃんは物凄い金額になる馬単マークカードと、
何枚かの馬単マークカードをつけた。
買った。
どうか当たりますようにっっっ!
心から祈った。
結果発表。
じゃかじゃん!

馬単1枚当たったよー。
ゴール前で叫んだよー。
老健から出てきて、やっと馬券当たったよー\(^o^)/
良かったよ良かったよー。
お金が少し返ってきたよー。
当たったと聞いたかーちゃんは、したり顔になって、
今度はお相撲を観た。
こうやってうちの平和が保たれた。
「1週間早い。」と昨日寝る前にかーちゃんは言った。
「競馬はまた来週ね。」

