O塚姉さんから電話がかかってきた。
O塚姉さん、緊急入院、手術して退院してきた。
それでちょっと落ち着いてからの電話がかかってきた。
じゃあ顔見に行こうかね。
昨日行ってきた。
入院前から話していて、
お姉さんに導入を勧めていた介護肌着を1枚持っていく。
「肌着類はもう介護肌着にした方がいいよ。病院の時それ着て、脱がないでレントゲン撮れるから楽だよ。」
そう話していたのだが、その直後すぐ入院した。
「お誕生日プレゼントだよ。」
介護肌着を渡した。
「ええっ? いいの? こんなに高い物……。」
「なに。かーちゃんのストックで1枚余ってたから、お姉さん遠慮しないで受け取って。いつも口ばっかりであれがいいこれがいい、って言ってるからさ。実物があった方がいいやね。」
「ありがとう。」
入院した病院に通院することになって、
介護肌着が必要に感じたのだろう。
「MがいいかLがいいか、、それ着てみて判断してみ。」
体が痛かったり辛い時に、病院での服の脱ぎ着は辛いのだ。
痛かったりしんどかったりするときに、
看護婦たちは「服脱いでください。着てください。」と簡単に言う。
看護婦たちはあまり手伝ってくれない。
なので介護肌着をお姉さんに勧めていた。
入院して4キロ痩せたそうだ。
可哀想に。
可哀想に、もうお姉さんは普通のご飯が食べられない。
果物もお肉も食べられない。
食べられるのは低たんぱく食だけ。
お昼と夜にお弁当を頼んでるんだそうな。
低たんぱく食を作るのは無理だ。
あたしにはできない。
普段から食べることをやって来なかったお姉さんにもできないだろう。
腎臓を悪くするというのはそういうことだ。
今回は免れたが、
もう将来は透析になる、と先生から予告されたそうだ。
「麦茶とブロッコリーばっかり食べてるよ。」と笑った。
冷食のブロッコリーを茹でて、ノンオイルのツナをのせて、
ノンオイルドレッシングで食べてるそうな。
「ああ、食べてるんだね。良かった良かった。」
イイダで麦茶を買っていった。
2本買った。
「1本は今開けるけど、もう1本は、作るの面倒くさい時に飲むんだよ。」
1時間半ほど歓談して退出。
入院前は手も足も顔もむくんで、物凄い形相だった。
それが元に戻った。
笑いも出ていたので安心した。
かーちゃんがデイから帰ってきて話した。
「あんたがあのまま糖尿が悪くなって、腎臓病にならないで本当に良かった。あんたが作った茶色い煮物と茶色い炊き込みご飯を食べさせられて、あたしはあんたに殺される、って思ったけど、あんたが料理するのを取り上げて本当に良かった。」
殺される、のところでかーちゃんは笑ったけど、
かーちゃんが作る、
だだ甘くてだだ辛い茶色のおかずを食べなければいけないのが、
本当に切実な問題だった。
このままこの食生活をしていたら、
本当にかーちゃんに殺されるって思った。
そう思って、かーちゃんから、
ご飯おかずを作る権利を取り上げた。
「あんた塩気が足りないだろうけど、あんたが今腎臓悪くなってないのはあたしのおかげだよ。ミキサーだけどお肉果物が食べられる今に、感謝しないといけないよ。」
何だか最後は説教臭くなったが、かーちゃんとそう話した。

